ネットワークエンジニア ICT統括室
インフラソリューションユニット
インフラソリューション部
インフラソリューション5グループ
島田 翔 Sho Shimada

事業会社のインフラ構築に携わりながら、
エンジニアとしてのスキルも発揮できる環境。

なぜリクルートを選んだのでしょうか?

新卒で大手SIerに入社し、アカウントSEとして8年ほど顧客のインフラ環境構築に携わっていました。具体的には、顧客との会話を通してネットワーク構成を提案し、機器の導入、保守運用まで一貫して対応するというものでした。
ただ、実際は提案の余地はほとんどなく、既に顧客側でやりたいことが決まっている中で、それを「どう実装するか」を考えるのが主な仕事でした。顧客の「やりたいこと」「決まったこと」を受け取るしかない状況は歯がゆく、より良いインフラ環境を提案する機会があっても、なかなか実現が叶わない。やがて、自分が「やりたいこと」を発信する側に回りたいと考えるようになり、ユーザー企業のIT部門や、ITコンサルへの転職を考えるようになりました。

その中で、事業会社であるリクルートに興味を持ったのは、事業会社でありながらも自分たちでエンジニアを抱えていることを知ったからです。
前職で働いている際、自社内にエンジニアリング専門の組織を持たず、「ITはベンダーへ全面的に任せる」というスタンスの事業会社を多く見てきていました。私は、自分の技術をより磨いていくことにも興味があったため、「事業会社に転職すればディレクションが中心になり、エンジニアではなくなるのだろう」という思いから、事業会社を避けて、自分のキャリアを考えていたのです。

しかしリクルートであれば、引き続きエンジニアとしてのスキルを発揮でき、自社の持つさまざまな事業に携わりながら「こうすればもっと良くなる」という思いを形にできるはず。さらにディレクションにも携わることで、自分自身のキャリアの幅を拡げられるだろうと考え、入社を決めました。

巨大なネットワークを「守り」と「攻め」の
両面で支える「縁の下の力持ち」。

仕事内容と、その魅力について教えてください。

私はネットワークエンジニアとして、全社用のネットワークにおいて課題特定から設計、構築、運用保守、デリバリーなどの全般を担当するチームを率いています。

全社用ネットワークは、2カ所あるデータセンターと、全国700カ所以上ある拠点を結ぶ大規模なものであり、接続されるネットワーク機器は約2万台。これだけの規模ともなれば、大小さまざまな障害がほぼ毎日どこかで発生するものです。
トラブル対応はネットワークエンジニアの仕事のひとつですが、シンプルな障害であればメンバーが自律的に対応し、システマチックに解決できるよう「守り」の仕組みが構築されています。事業会社でここまで仕組みを整えている企業は珍しいかもしれません。

ネットワークは時とともに形を変えていきます。拠点の追加については、小規模な拠点であれば既にパッケージ化されたものを導入し、大規模な拠点であればインテグレーションの企画から入ります。新たな業務要求への対応や、機器リプレースに伴う機能追加など、現状維持に留まらない「攻め」の部分もまた、私たちの仕事です。

ユーザーから障害報告が寄せられた際、複雑な事象から原因を突き止め、事態が改善できたときには手応えを感じます。しかし、そもそも私は「いかにユーザーに意識させずに物事を進めるか」に、ネットワークエンジニアの魅力が詰まっていると思うのです。

知らない者同士をつなぐために生まれたネットワーク技術は、すべての手続きが標準化されています。ルールに沿って運用しなければ、相手とは通じ合えません。そんな中で、自らの「やりたいこと」を形にするためには、パズルを解くように頭を悩ませなければいけないこともある。でもそれは、ネットワークエンジニアが頭を悩ませるべき課題であり、ユーザーが知る必要はないことなのです。
「つながることが当たり前で、ネットワークという存在自体を意識することもない」。そうした環境を実現する「縁の下の力持ち」でいることに、技術的な面白さを感じています。

基盤更改にあたり、中長期を見据えた新しい基盤を提案。
より良い環境作りに携われる手応えを感じた。

具体的に、ご担当されたプロジェクトについて教えてください。

2020年の初頭から今に至るまで、全社ネットワークのリニューアルに携わっています。

これまでリクルートでは、ほぼすべての社員にシンクライアントが導入され、VDI(仮想デスクトップ)の利用がメインとなっていました。このVDI基盤が保守期限を迎えたことから、業務端末の在り方が中長期的に見直され、「多様な働き方に合わせて、各自が業務端末を選べるようにする(=マルチデバイス化する)」という方針が打ち出されたのです。

当初の拠点ネットワークはVDIの利用を前提に設計されていましたので、マルチデバイス化にあたり、多種多様な通信を同時にさばけるインフラが必要となりました。既存技術を組み合わせて対応することも検討しましたが、インフラも中長期的な未来を見据えたものにしなければと考え、より柔軟な通信コントロールを可能とするSD-WANの導入を提案したのです。経営層にも同意いただき、2022年4月より順次導入を進めています。

SD-WAN導入と同時に、さらなる検討が必要となったのが、コロナ禍により急増したリモートワーク時のセキュリティ対策です。もともとリモートワークの仕組みはありましたが、シンクライアントでのVDI利用が前提であり、マルチデバイスによるリモートワークは想定されていませんでした。SD-WANの導入検討時も、マルチデバイス化はあくまで拠点内でのことと考えていたのです。
しかし、それはコロナ禍前のこと。リモートワークによって自宅やコワーキングスペースでの利用が増えれば、それまで担保されていたネットワークセキュリティが意味をなさなくなるのでは、と考えました。

そこで、情報セキュリティ管理担当にセキュリティ対策が必要であることを説明して立ち上げたのが、リモートワークを前提としたネットワークリニューアルのプロジェクトです。
まずは、リクルートの働き方にはどのようなネットワークがふさわしいのか、さまざまな方法を比較検討しました。そこで選択肢のひとつとして持ち上がったのが、クラウドプロキシです。検討にあたり、まずは代表的なクラウドプロキシ製品について社内ラボでPoC(概念実証)を実施し、社内ネットワークとして使用するにあたって必要な性能を持っているか、実際の動きを確かめていきました。

これを踏まえて次は、リクルートの環境で求められる固有の要件を細部まで書き出し、協力者である外部のベンダーに提案依頼書を提出。ベンダーからの提案を受け、再び社内ラボで実現可能性を検証するといった流れで、製品を選定していきました。このプロジェクトは全社ネットワークに関わるものであり、一度導入すると後戻りが難しいため、製品選定は約1年半の時間をかけて慎重に行いました。

動作検証では、パートナー企業やベンダーの協力を得たほか、社内の多くの部署と連携して進めていきました。クラウドプロキシは端末にインストールする製品ですので、WindowsやMacのエンジニア、モバイルデバイス管理担当、Active Directory担当などの協力も不可欠です。

また、社内アプリの動作も保証する必要がありました。クラウドプロキシの導入によりアプリの通信ができなくなってしまうと、業務に大きな影響を与えてしまいます。通信路の振り分けを含め、端末の動作についても、かなり綿密に検証を重ねました。

すべては「あるべき姿」を実現するために。
ボトムアップの土壌がその背中を押す。

長期間にわたる技術選定を乗り越えられたポイントは、どこにあったのでしょうか?

やはり社内ラボの存在は大きいと思います。クラウドプロキシはまだ新しい技術であり、成功事例が広く出回っているものではありません。しかしながら、導入の際は全社に配布するものですから、トラブルが起きたときの影響範囲も計り知れない。

そこで、「自分たちで実際に触れる環境を作らせてほしい」と社内に必要性や予算を説明し、承認を得て、社内ラボに検証環境を構築しました。実際PoCで想定と違う動作を確認できたこともあり、自分たちで手を動かしたからこそ、適切な必要要件を洗い出せたと感じています。社内ラボをはじめIT投資に理解があり、自分たちで構想して物事を進められる。そうした土壌がリクルートにあると改めて感じました。

今回のプロジェクトも、この土壌があるからこそ、ネットワークエンジニアとしてやりたいことや、やるべきことができたのだと思います。
エンジニアの中には、「新しい技術に携わりたい」「興味がある技術を使いたい」と考える人もいます。でも私は、「ユーザーのネットワークをより良く変えていく」ことをやりたかった。

クラウドプロキシの導入も、当初から技術ありきで進めていたわけではなく、比較検討したうえでベストな方式を選んだ結果です。もちろん、エンジニアとして技術を追求する道もありますが、リクルートでは「なぜこの技術が必要なのか?」「なぜこれをやるべきなのか?」を説明できなければ、前へ進むことは難しい。
裏を返せば、これらが明確であれば、プロジェクトが走り出します。リクルートは、「やるべきこと」を見つけられる人であれば、「やりたいこと」も実現していける環境だと思います。

安定と進化を両立させた、
「気づかせないネットワーク」を目指して。

リクルートで働く魅力と、今後の目標を教えてください。

リクルートはボトムアップ文化が根付いている会社です。

入社して最初に戸惑ったのは、全社用ネットワークとは別に、事業単位で個別にネットワークを構築する人たちがいることでした。これは、事業を進めるうえで、全社用ネットワークでは対応できない要件があったときに、自分たちでネットワークを構築して実現しようとした結果。インフラのスキルを持った社員があちこちにおり、それぞれのミッションを背負って動いている。そのことに衝撃を受けました。

もちろん、ネットワーク構築においてガバナンスは守られており、全社用ネットワークへの接続や、運用の巻き取りなど、私たちが携わることも多くあります。エンジニアたちと技術的な情報交換をすると、「こんなことをしているんだ」と刺激を受けることもありますね。既存の枠にとらわれず、各所からインフラに対する要望が次々あふれてくるところに、リクルートならではの面白さがあると感じています。

今後の目標としては、まずは現在進行形であるSD-WANとクラウドプロキシへの入れ替えを無事に完遂させることです。ユーザーにはネットワークが変わったことを意識させたくないので、「気づかなかった」と言ってもらえるのがベストですね。ネットワークの切り替えが完了したあとも、ロギングや通信制御をはじめ、セキュリティ向上に引き続き取り組んでいく予定です。

「気づかせないネットワーク」は、ネットワークエンジニアとして自分が目指す姿です。ネットワークはつながって当たり前のもの。しかし、障害が発生したとき、ユーザーははじめてネットワークという存在に気づきます。
先ほど、各部署が自分たちでネットワークを構築しているという話をしましたが、これも、社員が「現在のネットワークでは、自分の要望が叶えられない」ことに気づいたから起きていること。「できない」という言葉は、ネットワークという存在を“気づかせる”のです。

私がネットワークエンジニアとなったころは、安定感のある、枯れた技術を使い続けるのが良しとされていました。しかし近年、ネットワークの主体はオンプレからクラウドへ移っており、アプリケーションの数も増え続けています。
安定だけでなく、変化にも追従しなくてはならない。最新技術のインプットを怠らず、変化に強いインフラを作っていきたいですね。安定と進化の両立は簡単ではありませんが、これを実現してこそ「気づかせないネットワーク」に近づくと考えています。

記載内容は取材当時のものです。

データ推進室の
特設ページはこちら

データとテクノロジーで社会価値を最大化せよ。

おすすめのインタビュー記事

to top