投資マネジメント 投資マネジメント室
投資マネジメントグループ
菊竹 拓也 Takuya Kikutake

アクセルとブレーキのタイミングを見極め
やりたいことに最大限挑戦できる場をつくる。

投資マネジメントとはどのような仕事なのですか?

リクルートのメディア&ソリューション事業で、投資活動を伴う案件にはすべて投資マネジメント室が関わっています。わかりやすいところでは、企業の買収や子会社の売却といった案件がありますが、それだけではなく、業務提携に伴う投資や新会社の設立、役目を終えたサービスを終了する際も、経営と事業の間をつなぐ立場で関わります。
リクルートの特徴は、強い思いを持って事業にドライブをかけていく人が多いこと。私にとってもそこが魅力なのですが、コーポレートガバナンスという観点においては、法律や制度の観点から、踏み外してはいけないリスクを取らないようブレーキをかける必要もあります。そのとき、事業の主体者がやりたいことに最大限挑戦できるように、事業と経営の間に立ち、両者に適切な情報をインプットしながら、ファシリテーションをしていく。そして、最善の方法を導いていくことが投資マネジメント室の役割です。
関係者との個別のコミュニケーションでは、背景にある事情や考え方まで深く理解することを大事にする。そして、全体が集まる意志決定の場では、リクルートとしてのOBゾーンを明確にして、フェアウェイの中でどうやれば実現できるか、時には事業の立場に立ち、時にはコーポレートの立場に立ちながら、共通認識を整理し決断をリードしていく。全員が同じ一枚の絵を見て会話ができる状態をつくり、アクセルとブレーキのタイミングを見極め、最大限の挑戦ができるような場を生み出していくことを大事にしています。

入社早々新会社設立プロジェクトを推進。
事業、コーポレートのまとめ役を担う。

仕事の醍醐味を感じたエピソードを教えてください。

入社後すぐ、ある事業の金融ビジネスの新会社設立に携わりました。総勢10名以上、約半年かけて進めたプロジェクトです。投資マネジメント室の仕事は、やりたいと思っていることがある人のところに出向いて、実現したい世界観のヒアリングをすることからはじまります。担当者には、既存のシステムではカバーできていない新たな金融サービスを生み出し、ユーザーの不を解消したいという思いがありました。まず検討することは、銀行代理業の取得、金融機関との業務提携、新会社設立など、さまざまに考えられる選択肢の中からどれを選ぶか。収益性やリスクマネジメント等、経営的な観点から検討をして、新会社設立に向けてプロジェクトが動きはじめます。
私はプロジェクトを先導して、会社設立にあたっての論点を整理するため、会計、法務、人事総務等、組織横断でスペシャリストに声をかけ、プロジェクトに巻き込んでいきました。そして、事業、コーポレート一丸となって、取れるリスク、取れないリスクを全員で考え、詳細な事業計画や業務提携における諸条件整理を練っていきました。やるべきことは何か、誰を巻き込む必要があるか、プロジェクトの全体像を描き、すべて自分でつくりあげていけることが、投資マネジメントの仕事の醍醐味です。
結果的には、この件では会社設立を断念することになりました。どうしても解決の難しい課題が後から出てきたためです。多くの人を巻き込み、半年間、思い入れて進めてきたプロジェクト。胸をえぐられるような気持ちにもなりました。でも、投資案件は型どおり進むことのほうが少ないのだから仕方がありません。大事なことは、なぜうまくいかなかったのかを振り返ること、そこから「次に活かせること」を学び取ること。こうした経験が「次はなんとしても成功させてみせる」という強い気持ちにつながります。

サービスの最後まで見届け、学びを得る。
ナレッジを積み上げ、組織を進化させていく。

学びをどのように次に活かしているのですか?

たとえば、経営観点のリスクの洗い出し、新会社の業務設計、ステークホルダーとの関係構築、決断をするタイミング、といったさまざまな反省材料があります。こうした学びから、次の成功確率を高めるナレッジが得られます。
投資マネジメント室は、サービスを撤退するとき、その終わりを見届ける役割も担っています。リクルートは保有するサービスも、新規で立ちあがるサービスも多い。当然、合理的な判断としてクローズしていくものもあります。サービスを終了するときには、何がダメだったのか、きっちりと振り返り、報告することが求められる。なんとなくやめるということでは認められません。振り返りが足りなければ、審議の場やリスク評議委員会で差し戻されます。「得られた学びは何か」「次に活かせることは何か」学び取る姿勢が徹底されています。失敗しても構わない。でも同じ轍を踏まないように、学んだことを積み上げていくことを、投資マネジメント室全体で重視しているのです。
サービスを最後まで見届けるということが、前職までのコンサルタントの仕事との大きな違い。過去の経験を積み上げて、先見性を持って次のプロジェクトに臨んでいく。だから、リクルートではどんどん成長していくことができます。

関係者の発言の裏側にある事情まで読み解き、
泥臭く、意志決定に向かって動かしていく。

仕事のモチベーションとなっていることはなんですか?

リクルートの主役は事業だと思っています。私たちの仕事は、踊りたい人がちゃんと踊れる舞台をいかに創りあげるか。ビジネスとして目指していること、事業の主体者=演者のやりたいことを見立てて、そこにあるリスクを当然抑えつつ、ファシリテーションを通して、最高の舞台に仕上げていく。そんな演出家のような存在でありたいと思っているし、そこが一番の魅力です。
自分自身は0から1を創れる人間ではないと自覚しています。でも1を10に育てていく仕事は、過去の経験も、今の経験も存分に活かしていくことができる。
同じような案件がないこともリクルートの投資マネジメント室の特徴です。事業領域も規模感も、案件によって毎回異なるので、その都度、情報のキャッチアップをしていく難しさがありますが、そこに真摯に取り組むことが仕事の核でもあります。表面に見える情報だけでなく、関係者の発言の裏側にどんな事情があるのか推し量り、本音と建前を読み解いていく。あらゆる手段を使いながら、ステークホルダーを意思決定に向かうように動かしていく。これまでも戦略を練る力は磨いてきましたが、プロジェクトを泥臭く推進していく力は、リクルートで鍛えられました。熱い想いを持って事業を動かしていく現場を経験しているし、撤退する悔しさも知っている。圧倒的な当事者意識を持てるから仕事が面白い。頼りにされて「菊竹さんがいて助かった、ありがとう」と言ってもらえると、嬉しくて、すべての苦労が吹っ飛びます。

深い事業理解、信頼関係をベースに
先んじた提案をしていきたい。

これから挑戦したいことを教えてください。

今は事業からの相談に対応していく案件が主ですが、もっと能動的に、投資マネジメント室主導で仕掛けていく仕事を増やしていきたい。誰よりも早く勝ち筋を見極め、今後攻めていくべき領域や、新たな事業展開の可能性を生み出す提携先の提案をしていければと思っています。
そのためのポイントとなるのは、やはり深い事業理解です。どんなキレイな提案であっても、事業理解が浅いと感じられたら刺さりません。課題感がずれていてもダメです。事業がやりたいことが何なのか、そこを真に理解するためにも、目の前の仕事に真っ直ぐ向き合うこと。相談を持ちかけられた案件をしっかりやり遂げて、あの人に任せて大丈夫だという信頼感を得ること。そうした人間関係があれば、日常の何気ない会話から、次の課題にいち早く気づき、先んじて提案していける可能性が十分にあります。
投資マネジメント室は、経営に近い場所にいます。情報や人のネットワークを、事業とつなぐことで、新しいことを生み出せる立場にいる。事業の枠に閉じた話ではなく、あらゆる人とコミュニケーションを取りにいけることも強みです。どんなダイナミズムで意志決定が動いているのか、そのためにどう動かしていくのか。まだまだ足りないけれど、そのスキルが高まっている実感もあります。
最高の舞台をつくりあげていく総合演出家となり、最後に「ありがとう」と言ってもらえる。いずれは、そんなビジネスを、自ら仕掛けていきたいと思っています。

記載内容は取材当時のものです。

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