コーポレート法務 リスクマネジメント
コーポレート法務室
経営支援グループ
深津 健 Takeshi Fukatsu

案件の背景にまで入り込み、
当事者意識を持って物事を進めていける。

どのような魅力と可能性を感じて、リクルートを選んだのでしょうか?

前職は法律事務所で弁護士として執務し、M&Aを含むコーポレート領域を中心としつつ、訴訟、知財、労務など、比較的幅広い領域を手掛けていました。前職の業務にも非常にやりがいを感じていましたが、日々依頼者の法律相談に対応する中で、法律相談の背後に依頼者が組織としてやりたいことや目指す姿が見え隠れしていても、法的な部分のみ切り取って相談いただいた一部分にしか携われないことに歯がゆさを感じました。そのため、「企業の背景にまで入り込み、より経営に近いところでバリューを発揮したい」と思うようになったのです。企業内法務という道を選んだのは、会社の意思決定をする立場のすぐ近くで法務に軸足を置いた戦略を提案し、目的達成に向かう実感を味わえると考えたからです。
リクルートは、上場後もどんどん成長を続けている点、M&Aによって企業としての可能性を広げている点、規模が大きくダイナミックな案件に携われそうな点などが魅力的でしたね。何より上場大手の企業でありながら風通しが良く、積極的に新しいことに挑戦していけるカルチャーがある。自ら発信・行動し、物事を進めていける企業文化が自分にマッチしていると感じましたし、「圧倒的当事者意識」という言葉を掲げている点にも大きく共感できました。
また、職域や領域をまたぎリクルート全体で取り組むビジネスメソッドにも強い興味を抱きました。「ここなら社内の各部門と連携し、外部アドバイザーのような形ではなく、事業や経営に深く入り込んでスケールの大きな案件を実現できる。社会的に大きな影響を与えていくやりがいを肌で実感できる」と考えました。

法の専門家として本質的なリスクを見つけ
ビジョン実現への挑戦を支える。

仕事内容とミッションについて教えてください。

入社以来、M&A法務を含むコーポレート法務を扱うグループに所属し、複数のプロジェクトに法の専門家として関わってきました。そして2021年より、経営支援グループのマネージャーを務めています。 また、リクルートホールディングスのコーポレート領域の法務も一部担っています。私のように、リクルートのコーポレート法務とリクルートホールディングスのコーポレート法務を兼務するケースは多いですね。 リクルートの法務は、事業やプロダクトに関する法務を担当するソリューション法務領域と、M&Aやコーポレートアクション・スタッフ領域に関するコーポレート法務領域に大きく分かれ、後者についてもM&A法務を担当するグループと、経営支援(ガバナンス、コンプライアンス、人事労務等のスタッフ領域の法務業務)を担当するグループの2つに分かれています。私が担当する経営支援グループやリクルートホールディングスの法務では、組織・人事、ガバナンス、コンプライアンス、ファイナンス、IRなどのコーポレート領域に関する法務を手掛けます。担当する各組織としての方針や、やりたいことを理解した上でリスクを洗い出し、どうコンロトールしていくのが適切であるかまで考えた上で、実現できる方法を提案・実行することがミッションです。求められるスキルに多少の違いはありますが、コーポレート領域はもちろん、M&Aも含め、多くの領域も経験できるフィールドがあるところもリクルートにおけるコーポレート法務の魅力だと感じます。
リクルートは国内外で幅広い事業を展開しているため、それに伴うグローバルなガバナンスやコンプライアンス体制の検討案件や、国境をまたいで取り組む規模の大きなM&A案件などもあり、ダイナミックなやりがいを味わうことができますね。また、働き方の改革や、業務に利用するICTツールの導入・活用などにも積極的であり、法務のプロフェッショナルとして多様な角度から経営改革に携わることができます。案件によって関わる領域も見るべき範囲も異なり、適用される法律やケアが必要な観点も異なるので、毎回新しいことを学ぶことが必要であり、難易度の高い課題に向き合うこともしばしば。しかし、だからこそ多くの刺激を受け、成長し続けていけると感じています。「そのプロジェクトの真の目的を理解し、やりたいことを実現するために、本当に守るべきことはどこにあるのか」。そこを突き詰めて考え、本質的なリスクがどこにあるかを洗い出し、法の専門家として経営視点を踏まえてどうコントロールするかを判断します。
私たちが徹底的にリスクを分析することで、プロジェクトオーナーや他部署の担当者は安心して挑戦できるようになり、組織もより良い未来に向かうための先進的な改革を実行できるのです。リスクがあるからと簡単に諦めていたら、進める領域はどんどん狭まってしまう。しかし、議論すべき点を明確にし、本気で突き詰めていけば、やれる方法が見つかるかもしれない。法務領域に限りませんが、論点をとことん突き詰め、可能性を追求することがリクルートの強みですし、その中で法務としての専門性を発揮して案件を推進していけるところがリクルートの法務の醍醐味ですね。

各領域のプロフェッショナルと連携し、
難易度の高いゴールに向かう面白さ。

挑戦を支えた具体的なエピソードについて教えてください。

M&A法務を扱うグループに所属していた頃のエピソードとしては、 数年前に当社のR&D担当部署と投資マネジメント室を中心として一緒に進めたトークン投資の案件があります。当時流行の兆しがあったブロックチェーン領域ですが、リクルートにはもちろん、世の中においてもほとんど先例がない状況でした。私自身どこから取り組めばいいのかもわからず、ゼロからのスタートでしたね。
本件は従来の投資とは全く方式が異なり、新たに投資用のヴィークル(CVC)を組成する必要がありました。しかし、ほとんど前例がない中、ケアすべきリスクが多数存在していたのです。このような状況を打開するためには、日本だけでなく世界各国のリーガルカウンセルに効率的にヒアリングをした上で、「どの国にCVCを設立するか」「どのように投資実行にあたってのルールを敷くのか」などを検討する必要がありましたが、最適な方法を検討し尽くすことは困難を極めました。また、いざ投資のフェーズに入っても予測不可能な事態に巻き込まれるリスクもありました。「リクルートがなぜこの分野に取り組むのか、取ることのできるリスク、確実に守るべきことは何か」。五里霧中で未知の領域に踏み込む中で、ときに関係部門と激論を交わすこともありました。こうして徹底的に議論を交わし、契約要項や組織として示すスタンスまで精査して、何とか実現にこぎ着けることができました。
現在所属している経営支援業務でのエピソードでは、ホールディングスのコーポレート法務としてなのですが、 HR Tech SBUの国内外の複数グループ会社において、役員のみならず日本を含む世界15か国にわたる一般社員にも株式報酬を付与する仕組みを作ったプロジェクトが非常に印象深いです。このプロジェクトの目的は、 HRテクノロジーSBUの従業員の中長期的な企業価値増大への貢献意識を高め、企業価値を最大化していくことを目指すことにありました。
世界15か国、かつ、対象者1万人以上にも及ぶ大規模な株式報酬制度を新たに導入するには、人事を中心に財務や税務、経理などの各部門と連携し、多様な機能における専門的な知見を持ち寄って各機能間の要請などを丁寧にすり合わせながら実現方法を考えることが必要でした。また、グローバル展開するためには関係する数多くの国の証券法や労働法などを遵守しなくてはなりませんし、株式に関する部分は非常に複雑な信託を用いた仕組みとなっていることに加え、日本法で規律される部分になります。こうした基本的な仕組みを海外の担当者に理解してもらうことも含め、皆で理解のすり合わせを行う必要があり、それがとても大変だったのです。
この困難を乗り越えるため、一時期は海外の担当者も交え、時差のある3拠点でなんとか調整のつく時間帯を探し、集中的に毎日、各領域のプロフェッショナルが互いの専門性を持ち寄って大人数で直接話し合うことに。課題やクリアすべきことを整理した上ですり合わせを行い、最適な実現方法をひざ詰めで考えていきました。リスクをヘッジしつつ、各国各領域の担当者と「どうやって実現するか、どうやったらできるか」を導き出すために意見をぶつけ合うハードな日々を過ごしましたが、それが非常に面白かったです。
実は、米国のリーガルカウンセルやHR Tech SBUのジェネラルカウンセルからは、「この件ほどの規模のグローバルな株式報酬制度の導入には準備に2年くらいかかってもおかしくない」という示唆を受けていたのですが、各国の担当者で一丸となって頑張った甲斐もあり、なんと半年程度でローンチまでこぎつけることができたのです。この件を通じ、経営の意図や互いの領域に対する理解を深め合いながら、ひとつのゴールに向かう喜びを味わい、「自分はまさに、こういうことがやりたかったのだ」という実感を噛みしめることができ、非常に印象深い案件となりました。

恐れずに挑戦と改革を続ける文化のもと、
自分の発想を活かして案件の水先案内を実現。

「リクルートだから実現できると思うこと」について教えてください。

株式報酬の仕組み作りとグローバル展開は、非常に難易度が高かったにもかかわらず、半年という短期間で完遂できました。その要因は、社内のプロフェッショナルが「経営において実現したいこと」「組織として目指す姿」を共有し、各自の力を結集できたことにあると思います。ハードな案件でも個々が自分の専門性を理解した上で、他領域との理解を深め合っていけば、必ず達成できるのです。
法務としてリスクを理由にNOを出すことは簡単です。しかし、リクルートには前例のないことや難易度が高いことにも、熱い想いを持ってチャレンジしていく人々がいます。彼らは目を輝かせて「こういうことがやりたい」「数年先の社会を見据え、今やるべきことなのだ」と熱意をぶつけてきてくれる。大きな価値を生み出せる可能性に、一緒に夢を見ることができ、「自分も当事者として、共に挑戦するのだ」という強い想いを持つことができるのです。法の専門家としてのアドバイザリーという第三者的な立場ではなく、当事者として自分の意見をどんどん出し、職種の枠を超えて一緒にプロジェクトを推進していく。そこに大きなやりがいを感じています。
リクルートには恐れずに新しいことをやる文化があります。個を尊重し、挑戦したい人には機会がある。 大規模な組織でありながらも常に変革を続け、数々のチャレンジングな取り組みを実現しているのは、こうした文化があってこそ。そして私たち法務は、それらの根幹を支える“砦”なのです。組織が正しい道に進めるよう、健康体であり続けるよう、法務という専門性を活かし、先手を打ってサポートしていく。あるいは、個々のやりたいことやビジネスを健全かつ最適な形で実現できるよう、法務ならではの視点で新しい発想を提案していく。法務は「守りの仕事」と思われがちですが、リクルートでは自らのクリエイティビティを活かして、社会経済の変化を感じ取り、先回りすることで、「企業における水先案内人」のような役割を担うことができるのです。

目指すは、「経営から信頼される法務」。
未知の領域を切り開き、まだ見ぬ世界の実現へ。

今後、挑戦していきたいことはありますか?

組織としても個人としても、法的な理解を深めていくことに終わりはありません。外部の力を借りながらも法解釈の正確性を高め、海外の法にも精通しながら研鑽を重ねることで、グローバルガバナンスを実現していくことができる。また、視野を広げ、それぞれのビジネスや組織における目的・方向性を理解してこそ、法務として適切なサポートができるのだと考えています。
リクルートの面白さは、プロジェクト体制で仕事を進める点にあります。経営陣、事業、投資マネジメント、経営企画、経理、税務、財務、人事、IR、コンプライアンス等、各機能のスペシャリスト達とチームを組み、それぞれの知恵やアイデアを持ち寄りながら、迅速に解決策を打ち出し、事態を打開していきます。自分の価値を発揮してプロジェクトに直接貢献できる醍醐味があり、難易度の高い仕事を通じて確実に成長していく手応えを感じられます。リクルートは私の欲求と向上心、好奇心を満たしてくれる刺激的な場所だと実感しています。
今後もリクルートがグローバルの第一線で勝負し続けていく企業であるために守ることを明確にし、攻めることのできる環境を生み出していきます。また、自身のキャリアとしては、経営から信頼される法務人材となることを目指します。経営の中核を担う立場から法務・リスクマネジメントの専門性を発揮し、未知の領域を自分の力で切り拓いて、まだ見ぬ世界を実現していきたいです。

記載内容は取材当時のものです。

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